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米大統領選が、今月8日夜(日本時間9日午前)から開票された結果、
共和党ドナルド・トランプ(70)が当選した。
©newsweekjapan.jp
米国史上初、公職経験のない大統領。
政界への人脈の薄さ、不透明さが故に不安要素が山積みだが、
何故、この様な候補が選ばれてしまったのか。
米国の選挙制度と、トランプの支持層という2つの謎から
解いてみたいと思う。
予備選は党員頼み、本選は選挙人頼み
米国の大統領選は、立候補する側は、
予備選は党員頼み、本選は選挙人頼み
というのが本音だ。
有権者の投票と声は、どこへ行ったんだと思うが、結果と
両候補の選挙キャンペーンのやり方をみれば一目瞭然である。
米国大統領は、1月に予備選が始まり、本候補を選ぶまでに7~8か月
キャンペーンを行い、本選は僅か2か月。
予備選で候補を選ぶのは、党員。
僅か2か月の本選で、有権者の投票が終わった一か月後、
選挙人による投票が始まる。
©sankei.com
有権者獲得人数が多いのに、選挙人の人数が少なくて負けた
という例は過去に、アル=ゴアと、ブッシュの対決となった
’00年の大統領選があった。
今回もまた、同じ結果となってしまったのだ。
選挙人って?
問題となる選挙人制度は、総定数538人
各州の人口により、割り当ては以下の通りになっている。
©allabout
選挙人制度も問題点は、全米殆どの州が採用している
『勝者総取り制度』と呼ばれるものである。
陣取りゲームではないが、その州の選挙人を先に過半数取った党が、
その州の選挙人全員の票を獲得したのと同然になる制度だ。
これで過半数を得てしまう候補があるのだから、
米国の選挙制度が本当の意味で公平かどうかは、疑われるべきだろう。
では、トランプを支持した層というのは、具体的にどのような層なのだろうか?
支持したのは怒れる中間層
トランプの支持基盤になっているのは、突発して現れたものではない。
米国内の有権者の4分の1は必ず存在すると言われる『怒れる中間層』で、内訳は、
45~54歳の白人男性、地方在住、ブルーカラー
その家族、親世代たち
が多い。
実際に『怒れる中間層』以外の全米の死亡率は減っているが、この層の
死亡率、特に男性は年々増えているというのだ。
その原因は、アルコールや薬物、自殺という。
トランプは、彼らの生活の貧困を、移民や貿易のせいという
判り良い理由に転換し、雇用を約束すると、実現できそうにない事を述べ、
大統領になってしまった。
普通なら論筋の通らない演説をする候補が当選することなどありえないのだが、
これに飛びついたのが、メディアだった。
視聴率が稼げると、おいしい素材と考えトランプに飛びついたメディアは、
後々になり、その功罪の恐ろしさに気付く事になる。
では、トランプが選挙中に掲げた公約や勝利演説、一部でも実際に
実現するとどうなるのだろうか?
公約が実現すると経済が失墜する
実際にトランプが公約に掲げた、インフラ整備と共に、今現在
職にあぶれている白人層を、彼らが求める適正賃金で積極的かつ雇用。
しかも海外からの輸入制限、移民制限を行うとどうなるか。
財政上一番被害を被るのはトランプ支持層である。
じわじわと真綿で首を絞められるというものでなく、
一気に不景気になるようなものだ。
中には、選択枝がなく、鼻をつまんでトランプに入れた
という人もいただろう。
また今回クリントン氏が勝てなかった理由として
女性を大統領にしたくない
…という根強い差別がまだ残っている事が明らかになった。
©locoloconews.com
クリントン氏が、ギリギリまでサンダースと争った事も災いし、
隠れ民主党支持票も得ることが出来ず、前回オバマ氏に獲得していた、
票も流れていったといっても過言ではない。
今回の大統領選の結果は
最高齢大統領
を選出する結果となってしまった。
大統領選の後の人事構成をみても、日本で言う所の官房長官にあたる
首席補佐官を完全に身内で固めているだけでなく、
差別主義者のバノン下院議員を選んでいるあたり、どうなのかと思う。
選挙で最年少で選出されたジョン=F=ケネディは、
『国が貴方の為に何をしてくれるかでなく、貴方が国の為に、
何が出来るかを考えようではありませんか。』
と勝利演説で述べた。
今、そんな事を国民に言おうものなら、殺されるのだろうか。
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