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長年、慢性副鼻腔炎、気管支炎、喘息の
治療薬として評価されてきた、リゾチーム塩酸塩製剤が、
’16年3月末で、医療現場から自主回収されました。
その背景にあったものは何でしょうか。
ペニシリンを発見した人物が見出した成分
リゾチーム(Lysozyme)は本来、ヒトの体の成分として
涙や母乳にあり、
工業的には卵白から抽出されています。
食品添加物としては酸化防止剤に、医療現場では、
痰を切る成分として『リゾチーム塩酸塩』という形になります。
成分を発見したのは、ペニシリンを発見した細菌学者
アレキサンダー・フレミングで、
’60年代から相次いで製剤が発表されていました。
薬の再評価制度で、自習回収が増えている?
しかし時代が移り変わり、新薬は開発され、古い薬は
厚生労働省が定める『医薬品の再評価制度』
を通過しなくてはいけなくなりました。
リゾチーム塩酸塩製剤も例外ではなく、
有効範囲を狭め、再評価基準を気管支喘息、慢性副鼻腔炎に絞り
申請したものの、今年3月、自主回収の憂き目を見たのです。
医療現場や処方箋薬局からは姿を消したリゾチーム塩酸塩ですが、
OTCには、リゾチーム塩酸塩を含むものは
約180種類
あるといわれています。
有名メーカーの咳止め液や、咳止め目的の錠剤には、
リゾチーム塩酸塩が含まれています。
一応、全く効果がないという訳ではないので、
一般薬の方には、当分自主回収は及ばないそうです。
次々回収対象になる消炎製剤
では、過去にリゾチーム塩酸塩と同じ憂き目に遭った製剤は
あるのでしょうか。
実は’11年に、痰きり剤であるダーゼンも再評価されず、
自主回収の対象となっています。
主に咳が止まらず、痰が絡む、結核系の患者に処方される
痰きり剤ですが、再評価されなかったのです。
現在医療現場では、この酔うな消炎酵素製剤を
次々自主回収にし、代替薬に切り替えています。
目的別効果のある薬が減った感覚
リゾチーム塩酸塩製剤とダーゼンの代替に
使われるのが、カルボシステイン(商品名:ムコダイン)です。
リゾチームとダーゼンが消炎酵素剤だったのに対し、
カルボシステインの薬効は、炎症を起した粘膜から
粘液を出す事を促進させる事で、痰を切りやすくさせます。
副作用も少ないことから重宝がられていますが、
炎症を鎮める効果があるわけではありません。
その為、喉風邪や咽頭の場合、これだけを代替薬にすると、
抗生物質を出して細菌を殺しているにも関わらず、
炎症が治まらないので、風邪が悪化する事もあります。
以前はカルボシステインと、リゾチームもしくは
ダーセンを処方されれていただけに、
1つに絞られた患者さんは、これだけでは効果はないと
思われている人も多いのではないでしょうか。
消炎酵素剤の代替に選ばれたのは
私自身、幼い頃に気管支喘息で、大人になってからも
風邪をひくと治りにくいタイプでした。
でも喉風邪の初期に病院に行けば、痰きりと同時に
消炎酵素剤を処方して貰えたので、大事に到らなかったのです。
昨年ぐらいから、風邪になってもかかりつけ医師から、
消炎製剤が処方されなくなり、
医師も漢方薬やステロイドを使うか模索した結果いきついたのは、
非ステロイド性抗炎症薬との併用です。
ご存知の通り、この薬の系列は、いわゆる
頭痛、生理痛を緩和するOTCでよく見られる
ロキソニンSや、バファリンなどと同じです。
体全体への鎮痛剤ではなく、リゾチームの様に
ウィルスがもたらす炎症に効果がある
消炎製剤を製薬会社が作ってくれるのは
いつなのでしょうか。
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