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『ネットワークビジネス9つの罠』なぜMLMは問題視されるのか

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口コミで商品を販売し購入者を『販売員(ディストリビューター)』に起用するのがネットワークビジネス、もしくはMLM(マルチ商法)と言うものだ。

法律に則った販売形態なので違法ではないが、良いイメージがないのが現状である。
私自身ネットワークビジネスには関心がなく、押し売り勧誘をしないディストリビューターから商品をたまに購入する程度なので、被害を被った事は一度もない。

ではなぜネットワークビジネス(以下MLM)は問題視されるのか。
一冊の著作を中心に、その理由を紐解いていこうと思う。

マイク・カキハラって?

『ネットワークビジネス9つの罠』には、
MLMに勧誘された人が陥りがちな失敗を判りやすく書いてある

それは著者のマイク・カキハラ氏の実体験に基づくものだ。

マイク・カキハラ氏は、’85年に渡米し、’88年に知人からMLMの誘いがあったが、この時は料理人になるために断った。
世界中を回り、スイスのホテルの料理人になる程の腕を身に着けたマイク氏は、’92年に米国で知人に誘われてMLMに乗り出したが失敗。別のMLMに4年後に乗り換えた所、トップディストリビューターとなった経験を活かし、この本を書いた。

料理人だったのだから、MLMを始めた時も、それなりに人脈があったのだろう。
だから商品を売る『あて』はあったのかもしれないが、アップライン(グループの上層部の人)の言う通りに、商品を売ったつもりが、全く売れず、挫折する羽目となってしまった。

その結果、マイク氏が行き着いた結論は、アップラインや、そのMLMのスーパースターの成功例は、自分の成功に直結するわけではないという事だった。

彼らが『ビジネスを始める前に、読んだ方がいい』という本の中には、どんなビジネスにも共通するいい事が書かれているものもある。だが、それを読みぬく力がなければ焼石に水なのだ。
MLMを始めたばかりの人に、よく見られるのが、この間までパリピだったのに、ビジネス本の丸写しの様な事やサプリメントについて熱く語りだす事だ。

こうなると、誰もがその人の急激な変貌ぶりに怪しいと思うだろう。
この手の失敗談をまとめたのがマイク氏の著作だが、MLMの9つの罠とは具体的にどの様なものだろうか。

世の中の当たり前に注意を払えば気づく事ばかり

MLMの9つの罠とは、以下の通りである。

1:誰にでも出来る(チャンスはある)
2:世界中の人々(あなたの周りの人々)は見込み客だ
3:セールスじゃない
4:知り合いを簡単に紹介できる
5:商品を売るのは簡単
6:会社は業績が伸びて、無借金経営だから潰れない
7:ノルマなし
8:早い者勝ち
9:信じるものは成功する

これらの項目は、ビジネスを始める前に読んだ方がいいと言われる本を熟読すれば、嘘と判る事ばかりである

代表的な本は、ロバート・キヨサキの『金持ち父さんシリーズ』と、スティーヴン・コヴィーの『7つの習慣』だが、この2つの本は、MLM推奨の本という意味ではなくビジネス本だ。

6に至っては、実際に破産している会社もあるのだから、どうしようもないし、商品を売るビジネスに早い者勝ちもない。遅く参加しても成功するものは成功する。
商品のプレゼン能力が確かでなければ売れるものも売れないし、お客が来てもらって当たり前という人気商売をしていた人が、この手の事を副業にする時は、最悪の場合、人の縁が切れてしまう

冷静に考えれば、陥るはずのない罠なのだが、MLMの勧誘は巧みに行われている。
ではどの様な人が引っかかりやすいのか。

MLMで成功しない人も特徴がある

MLMで、本格的に成功した人でなく、失敗した人、自分が購入するのがメインで後は友達に勧めている販売員に共通する事は何だろうか。

本格的に成功した人はどんなビジネスをやっても成功するという事が挙げられる。
だからこそ彼らは商品を定期的に買ってくれる客への人脈を持つ事が出来るし、その人脈を生かしてMLM以外のビジネスチャンスを作る事が出来るのだ。成功者には別の成功の道も新たに用意されている。

だがそうでない人の方が圧倒的多数なのと、成功しすぎている人を、成功していない人が神の様に持ち上げる事で、イメージが悪くなっている事も事実なのだ。

このビジネスで成功していると思われていない人や、挫折する人の特徴は以下の通りである。

1:人とは違う人生を送れたはずだという悔いや自尊心が強い
2:自分に厳しいが、仲間意識がある
3:人当たりがよく、感謝という言葉が好きで、ポジティブでいたい
4:イベント、旅行が好き、パリピ
5:大学の時は、リア充でなく、キョロ充、ぼっちだった
6:仕事の先行きに不安感がある

私の知り合いや、友人にはMLMにハマっている人もいれば、成功した人もいる。

成功した人に共通しているのは、本業でも十分食べていけて人間的信頼が確立出来ている人だ。そしてMLMをやろうが辞めようがその信頼関係が崩れる事はない。

某大手コーヒーショップの一角で、決まった曜日にMLMのメンバーの勧誘をやっている所があるが、アップラインの勧誘は言葉巧みだ。

勧誘されてくるのは決まって、メンバーの中の会社の後輩、クラブで知り合った女の子などで、自意識高い系や、自分を変えたいという思いがにじみ出ている人たちである。

そんな彼、彼女らの心をくすぐるかの様にアップラインは『あなたは特別だから〇〇さん(勧誘したチームメンバー)に読んでもらったのですよ~』と声をかける。

特別扱いし、仲間に入れた事で素敵な体験が始まる事を演出する事で、MLMがいかに素晴らしいかをプレゼンするのだ。
同じコーヒーショップを利用しているので、彼らの勧誘方法は、嫌が応でも耳に入ってくるのだが、強気の小心者の人間を勧誘するには最強の方法だろうと思う。

反対にMLMが一番やりにくい人間は、私の様なタイプかもしれない。
周りに各種MLMがいるというのは、同業者の販売網を脅かす事になるので、基本的に勧誘禁止になるのだ。その上、私自身この手の勧誘に全く興味もなく、誘われる人たちと性格が正反対である。

繰り返し言うが、MLMそのものは違法ではない。
だが成功する人ははじめた段階で『9つの罠』に気付いており、シビアに対処していたはずだ。どの業界にも甘い夢などないはずである。

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