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販売店の首を絞める『押し紙』問題・何故新聞社は、やめようとしないのか

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我が家は、親族もいれると、昔は紙媒体の新聞を4種類取っていた事がある。

朝日、毎日、地方新聞、英字新聞の4種類で、父親が存命の時は、父は産経か日経を代わる代わる読んでいた。20年前は、読もうと思えば5種類の新聞を家で読めたのだから、新聞販売店からしてみればお得意様だったかもしれない。

そんな新聞が『長年のタブー』というべき『押し紙』問題に直面している。

配達していないのに、配達した事にされている『押し紙』の部数は年々増え、販売店主を圧迫しているだけでなく、購読者たちに押し紙の実態まで明らかになっている。

©kokusyo.jp

何故新聞社は押し紙を作る必要があるのか、また販売店だけが苦しまなければいけないのか。

押し紙比率が5割を超える所も

何故新聞社は、押し紙をしてまで発行部数を増やそうとするのか。それは部数が減る以上に、広告収入が減るからだ。

販売店がチラシ欲しさに売れないと判りながら新聞社から『配達しない新聞を買う』事を積み紙というが、これは、映画館における広告のメカニズムに似ている。

映画館で予告が始まる前の広告内訳をよく観察してほしい。

地元のサッカーやバスケットボール、球団のCM、飲食店のCMや、サービス業のCMが、予告よりも明らかに長い場合は、規模の割には儲かっていない。


©shochiku.co.jp

これらの映画館は
採算をあげる為に大味のアクション映画か、配給会社のいいなりになった邦画やアニメを配給する

東京の岩波ホールの様に、観客の芸術性を育てようという概念はないのだ。外国のメディアには押し紙問題がないために、発行部数が減れば次々に会社合併、デジタル版移行へと選択を迫られる。

沖縄では、発行部数の5割が押し紙と言われ、販売店が新聞社を提訴する騒動が起こっている。

建設会社勤務時代に気になったのが、購読してもいない系列会社の新聞が定期的に入っていた事だ。
。よく考えれば、あれは『押し紙』だったのでは、と思う。

会社では日刊工業新聞だけ購読していたのに、家で購読していない地方紙、経済紙が、どんどん事務所の郵便受けに入ってきた。何の疑問も持たず『この会社に勤めていると、いろんな新聞が読めるのかな』と思っていた若い頃の私は、つくづく愚かだった。

戦中戦後は『エリートが作り、ヤクザが売る』なり『苦学生が配達する』と言われていた新聞だが、現在はそうではない。
販売主は、ごく普通の人で『脱サラ組』であり、彼、彼女らは、ブラック企業も蒼くなる押し紙を押し付けられ、自殺する人も居る。

作る新聞社の腹が痛むのでもない押し紙は、どう処分されているのか。

そのまま古紙回収や、タダ配り?

押し紙の行方は、読まれる事なく、古紙回収もしくは近辺のビジネスホテル、フィットネスクラブや医院にタダで配られている

医院や、フィットネスクラブに置いてあるのは、聞いた所、販売店からもらっているのだという。その数が多ければ多い程、押し紙率が高い事になる。ちなみに私の祖母が住んでいる地域の地方紙は、医院、フィットネスクラブ、ビジネスホテル、すべてに置いてあった。

地方紙や経済紙であれば、販売店が『よろしくお願いします』とおいていったのかと思うだろう。だが押し紙問題が一般の人々に知れ渡るようになったきっかけは、有名な全国紙までもが、ビジネスホテルなどに置かれるようになったかもしれない。


日本語が読める外国人からしてみれば信じられない光景であり、そこまで日本の新聞社は困窮してるのに、何の対策も販売店に対して打ってないのかと、押し紙問題に対し、外国人からよく聞かれる事だ。

古紙回収でも未読の新聞が問題となっているが、これらはサーキュラーエコノミーにもならず、既存のものを利用して、新しいものを作り出す『アップサイクル』にもならないとされている。

私自身はネット媒体も紙媒体も同じ様に好きなので、未だに紙媒体の新聞とっているが、近所に住む人は夕刊をやめた人もいる。
新聞を購読するという行為は、自分の興味対象外の事も幅広く学べるので、ありがたい。建設会社勤務時代、押し紙に気づかなかったとはいえ、様々な新聞を読む機会に恵まれた私は、そう思った。

ネットだと『興味のある事』しか人間は拾い読みしない。そうした意味でも、押し紙をやめるには、人々が興味を幅広くもつ事が必要なのではないだろうか。

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