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SNSでの言葉のささいな行き違いから炎上に発達する今、9年以上前に高校生向けに書き下ろされた本が売れている。
ある日突然売れ出したという本には、人間関係の秘密が隠されているようだ。
突然売れ出した
本の発売は、’08年3月。初版はそれほどでもなかったがここ数年、月平均100冊を超す程度でじわじわ売れていた。
今年に入り月平均170冊、大型店で平積みを試みた所、2月には500冊を達成。その後も月平均300冊は売れている
アマゾンにも中古本は出ているが、中古本の回転も700円代の新書にしては早い方だ。それもそのはず。
『友だち幻想』読了。
「表面的な言葉や勢いに惑わされず相手を見極める」って「言うは易し…」だと思うけど、せめて頭のどこかに留目置いとくべきかな。
書店では在庫なくて取り寄せられなかったしマケプレも割増売値になってたので、同じ著者の違う本を攻めてみるか…(^_^;)— さみぃ(八杷完) (@sammy_garden) 2017年6月14日
購買層の7割が40代後半から50代の男性
©asahicom.jp
担当編集者の吉崎宏人さん(55)は、本が出来た経緯について、こう語る。
『一年生になったらって歌があるじゃないですか。あれで、友達100人出来るかなという歌詞は学校が皆と仲良くなれるという幻想を(生徒に)抱かせる歌かもしれない。。
反論しにくい事柄への捉えなおしの本として書いて貰ったんです。』
「友だち幻想」(菅野仁)がよさそうなので、ポチっとした。
小学生の時から、自分と合わない他人との付き合いに苦しんで、結局一匹狼を選ぶしかなかった自分も、間違いじゃないって思えそう。#友だち幻想#菅野仁— らんまる (@map_hata) 2017年6月5日
菅野さんが、この本を執筆出来たのは長女の存在があったからだという。菅野さんの長女は執筆当時小学生。クラスに馴染めなかったにも関わらず、クラスに馴染むようにと何度も担任に公開裁判の様に注意された。これは
同調圧力が苦手な子や、周りから個性を押し付けられる子、グループに入る事を強制される事が苦手な子は思い当たるのではないだろうか
菅野さんの妻・順子さん(47)は、生きることに悲観的になってほしくない。昔は要領のいい子が認められるというわけでなく、黙々と頑張る子が認められたのに。と、夫の執筆時に話していたという。
この本では、菅野さんは、若者のみならず大人も、友達なら互いに100%受け入れて貰えるようになるはずだという甘い期待をしたり、自分の主張を押し付けたりする事が不満の温床を作るのだと指摘する。
自分とは異なる他人を認めるのは、好きになれとは言わないが尊敬しろという意味であり、異なる立ち位置の人を無視して我儘を通す意味ではないとも指摘している所がツボだ。
菅野さんの指摘した事を、人間関係で守れば俗に言われる『炎上人』や『取り扱い注意のアテクシ系』という上目線な人は、なりを潜めるだろう。
何故なら自分を100%受け入れてくれるのは、例え親が相手でも幻想であるという事。を弁えなくてはいけないからだ。
脆い人間関係に自分で向き合う事が大事
この本を入学者の必須図書にしているのが、大妻女子大学(東京都千代田区)の家政学部ライフデザイン科だ。
SNSの友達作りが入学前から始まり、入学後、乗り遅れまいと焦ったり、リアルな人間関係になってから肌合いの違い悩む学生の為に、必須図書にしたという。
ある種のグループでは、いつも関係を密にしていないと、いつ排除されるかわからない不安がつきまといます。不安になるから、ますます固まって一緒にいる。
菅野仁『友だち幻想 人と人との〈つがなり〉を考える』
— めごち (@Camelusdromeda0) 2017年5月20日
だが本の感想を書いた学生の中には『こうできたらいいな、というのが理想。でもなかなかそうもいかない』という人も居た。
この本が売れた背景には『つながり依存症』があるからだという。
つながり依存症とは、流動的で流されやすい脆い人間関係は、共通の趣味を媒介にしSNSで互いの親密さを確認しないと不安に襲われるというもの。
前向きで努力家の教師や指導員ほど『クラスの一体感』、『みんなで団結』を、ことごとく口にし、イベントやお祭りを好む。それが生徒に対する同調圧力になり、一部の人間だけで盛り上がっているとも知らずに。
私の友人の一人がスポーツ系のコーチなのだが、彼は典型的なお祭り男だ。彼が主催のイベントではファンが、Tシャツやグッズを必ず販売するのだが、同調圧力が並大抵ではない。
グッズ購入用紙が回ってくる人と、回ってこないグループとに分けられ、その時点で差別を受ける。さらに購入した枚数によってもファンの間で地位が決まるというのだから、純粋にスポーツを楽しめるわけがない。
何も知らないのはコーチだけで、コーチのファンクラブと化した、レッスンの同調圧力はとんでもないものとなり、派閥や、表面上の繋がりも出来ている。
学校の先生の立場から見ると、「あの子たちはいつも一緒にいてすごく仲がいいんだな」なんて思える子どもたちの集団でも、よくよく話を聞いたり、様子をうかがってみると、じつは非常に緊張した状態でいつも一緒にいるという場合があります。/菅野仁『友だち幻想』
— ジンメル_菅野仁bot (@SimmelKanno) 2017年9月28日
こうした例をとってみても、いかがだろうか。
貴方が今やっている事は、本当に楽しくてやっている事か、それとも周囲の同調圧力が怖くて、抜けられないだけなのか
最悪なケースは、自分は楽しいが、周囲の人々に気付かぬうちに、同調圧力をかけているという人である。
こうした人は、男性であれば定年退職した場合、女性であれば共通の趣味を持つ人が、1人、また1人と一身上の都合で去っていった場合、はじめて気づくのだ。
だからこそ、この本が50代を中心に売れているのかもしれない。
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