TPPでコメを”守る?”絶対に引けない理由とは
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7日午後にTPPの閣僚による全体会合が行われた。ここで、早期妥結を目指すアメリカは日本の「重要5品目」を除外するという要望に対して譲歩の姿勢を見せ始めている様子。
重要5品目とは、(1)コメ(2)麦(3)乳製品(4)牛肉・豚肉(5)砂糖やデンプンなどの甘味資源作物の5つであり、全て農業・畜産業のもの。何故政府は、この5品目を絶対に譲れないと言っているのか。また、それが正しい決断なのか。
今回はコメを焦点に合わせて考えていく。
JA農協の反対
自民党の国会議員は”聖域なき”TPP反対を主張して選挙に当選した者がとても多い。その自民党の支持母体となっているのがJA農協である。
JA農協の組合員は正・准組合員合わせて1000万人にも及ぶ、とてつもなく大きな組織である。自民党が長年政権を握ってこれたのは、JAのおかげだと言っても過言ではない。
ここで全項目関税撤廃としてしまうと、JA農協の反感を買い、自民党は再び政権を失ってしまう可能性が出てくる。自民党としては何としても、最低限の”主要5品目”は”守らなければ”ならない。が、それは果たして国民のため?
国内のコメ消費量
日本国内の年間コメ消費量は年々減少傾向にある。
上記したのは、農林水産省の食料自給率に基いて作られたコメの年間消費量のグラフだ。
見てわかるように、コメ消費量はピーク時から約2分の1まで減っている。にも関わらず、日本のコメは世界から見て高すぎるために輸出することはできない。
なぜ日本のコメは高いのか
世界的にみて日本のコメはとてつもなく高い。何故高いのか?もちろん品質が良いのも理由の一つではあるのだが、実際はそれだけではない。
一番の理由は、政府が日本のコメの価格を下げないように、徹底的に保護をして守ってきたからだ。その盾が関税である。
海外のコメを日本に輸入すると、341円/kgの関税がかかる。例えば10㌔を輸入するとした場合、米がどんなに安くとも3410円の関税がかかる。こうすることで、日本のコメの値段を下げずにいられるという訳だ。
日本国民にとっては、関税撤廃で海外の安いコメを買えるようになれば、それはとても嬉しいことではないか。しかしそれだと、日本のコメを買う人はいなくなる。価格を下げるしかなくなり、日本の農業は崩壊するから、絶対に関税撤廃はできない!というのがTPPをめぐる争いだ。
モノの本当の価値を
TPPは日本の農業を壊滅させるというのは本当なのか?
実際に関税が撤廃され、海外の安くて品質の良いコメが日本の市場に入ってくるとすれば、それらはかなり多くのシェアを占めていくだろう。それに対抗するには、日本のコメの価格を下げなければならない。その損害は著しく、約1兆円に上るとされている。
日本の農家にとっては、良いことが一つもないのだろうか?いや、そんなことはない。日本のコメは、世界的にも絶大な評価を得ている品種も多い。それらを世界的な高級ブランドとして確立していくことも可能ではないか。
そもそも、TPPで頓挫されるようなものというのは、市場から見ていらないもの、高すぎるもの。それを日本政府が必死に守り続けていただけだ。それがTPPにおいて、本当の市場価値になるだけである。
グローバル化が進む中、いつまでも政府に守られていては競争力はつかないし、それこそ日本の農業の壊滅につながるのでは。
既得権益の保護
つまるところ、TPPの主要5品目除外といのは農家を守るため、農家の既得権益を保護する為であると言える。
JA農協に逆らうことができない政府の抵抗。自民党にとってJA農協はアメリカよりも影響力がある存在であるとも言えるかもしれない。
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