2018年7月公開の映画
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6月半ばから公開の『空飛ぶタイヤ』が好調だ。
©eiga.com
その事故はメーカーなのかそれとも整備なのか。筆者は自動車整備の現場に携わっていたので、どちらの側にも責任はあるという目で見て興味深い内容だった。
今月も、この様な面白い映画が目白押しである。
ハン・ソロ~スター・ウォーズストーリー~
『スター・ウォーズシリーズ』の中で、ダントツの人気を誇るキャラクターといえば、若き日のハリソン・フォードが演じたハン・ソロ。ハン・ソロがレイア姫と出逢うまでの日々を描いたドラマ。
宇宙船造船惑星として知られた辺境の惑星コレリアに住む若きハン・ソロ(オールデン・エアエンライク)とキーラ(エミリア・クラーク)は犯罪者から追われる日々を送っていた。
惑星から脱出しようとした二人だったが、チケットのない2人は帝国軍にとらわれ、ソロだけがかろうじて脱出、離れ離れになってしまった。
ソロはその後帝国航空学校に入り、宇宙船のパイロットとなった。だが帝国軍から3年で除隊してしまい、そこで出会った命知らずの軍人ベケット(ウディ・ハレルソン)らと共に絶大なパワーを持つ燃料コアクシアムを盗もうとするのだが…。
ソロは、ルーク・スカイウォーカーや、ダース・ベイダー(アナキン・スカイウォーカー)の様なフォースを持つわけでもない。破天荒な愛すべきアウトロー・ハン・ソロに、あの頃は誰もが憧れた。
その若き日を演じるにあたり、誰が射止めるのかが注目されたこの作品。若き日のハン・ソロを、オールデン・エアエンライクが射止め、その演技が期待されている。
流れ者のワルであるハン・ソロが銀河一のパイロトを目指し、相棒チューバッカや、ミレニアム・ファルコンといかにして出逢うのかに、映画の焦点が当てられているのが興味深い。
(6月29日より、全国のTOHOシネマズ系列で公開中)
焼肉ドラゴン
’08年に初演された、鄭義信(チョン・ウィシン)による同名劇作の映画化。70年代の大阪を生きる在日韓国人の家族の姿を描いている。
時は大阪万博の頃の大阪、伊丹空港の下の河川敷の国有地。不法占拠でありながら在日韓国・朝鮮人のコリアタウンがあった場所。
済州島からやってきた金龍吉(キム・サンホ)は、その一角でホルモン焼肉屋を営み、店はいつの間にか『焼肉ドラゴン』と呼ばれるようになっていた。
そこに暮らしていたのは、龍吉と先妻の間の娘静花(真木よう子)、次女の梨花(井上真央)と後妻の英順(イ・ジョンウン)の連れ子でホステスの美花(桜庭みなみ)、そして、龍吉と英順の間に生まれた中学生の時生(大江晋平)が暮らしていた。
時生は学校でいじめられ不登校になり失語症になってしまい、美花はナイトクラブのオーナー・長谷川(大谷亮平)と不倫する羽目に。
だがそんな一家の次女・梨花に幼馴染の哲男(大泉洋)が結婚を申し込んでくる…。
日本で最も在日韓国人が多いのが大阪だが、大阪万博の頃は、大阪キタにもこの映画で描かれている様な情景は当たり前のようにあった。
不法占拠という名前の元に立ち退きにあった人々の本音をこまやかに描いている、この作品は秀作だと思う。
(6月22日より 全国のTOHOシネマズにて公開)
バトル・オブ・ザ・セクシーズ
全世界が息をのんだ、男と女の闘い。ウーマンリブの時代を背景に女子現役テニスチャンピオンと、男子元世界チャンピオンの戦いの幕が開ける?男の沽券と、女性の権利、どちらが勝つのか?実在の事件の映画化。
時は’73年。女子テニスの優勝賞金が男子の8分の1だった事が判明。男女平等を求め、仲間と共にテニス協会を脱退した現役女子チャンピオン、ビリー・ジーン(エマ・ストーン)はテニス協会に賃金と賞金の平等を求め挑戦状をたたきつける。
女子テニス協会を立ち上げたビリー・ジーンには数々の試練が待ち受けていたが、彼女に男性代表としてケンカを売ったのが元テニス世界チャンピオンのボビー(スティーブ・カレル)だった。
かつては栄光を誇った彼もギャンブル癖が治らず、妻に逃げられバツイチで落ちぶれ、これをきっかけに世界から脚光を浴びようとしていた。全世界が注目する『性別を超えた戦い』が幕を開けようとしていた。
『ラ・ラ・ランド』でオスカーに輝いたエマ・ストーンが、’70年代のウーマンリブに生きるダサイモオネエチャンに扮し、カメレオン俳優スティーブ・カレルと向こうを張るだけでも『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』と言えるこの作品。
カレルは先月公開された『30年後の同窓会』で演じた寡黙で良心的な息子を亡くしたとは真逆で、ギャンブル癖が治らない傲慢チキチキのメタボ腹の元チャンピオンを演じている。
演じる役のふり幅の大きさが感じられる二人の演技と、当時の時代背景の面白さが感じられる作品である事は確かだ。
(7月6日より全国のTOHOシネマズ系列にて公開)
最後のランナー
1924年にパリ五輪の400m金メダルを獲得した宣教師エリック・リデルの栄光の日々をつづった映画が『炎のランナー』だが、その語られなかった後日談を描いたのがこの映画。
パリ五輪で金メダルを獲得した宣教師エリック・リデル(ジョセフ・ファインズ)は、五輪の翌年中国の天津に向かった。
敬虔なクリスチャンである彼は、金メダルを獲得した運命の日でさえ、宗教上の理由で日曜に行われる礼拝を辞退するかどうか最後まで迷っていたのだった。
天津で宣教師として生きる決意をしたエリックだったが、1937年に現地を日本が占領。エリックは妻子をカナダに亡命させ一人この地に留まる。
やがて状況は悪化し、エリックたちは欧米民間人と共に収容所に入れられてしまい、過酷な抑圧により体調不良で苦しむ事になる。
彼はそんな中で、走る事で不屈の情熱と信念を示そうとするのだが…。
五輪を制した実在の人物エリックだからこそ説得力のある話のつくりになったのだろうし、あの話に後日談があったという事も興味深い。美談に終わらせていない所も重要なポイントだ。
(7月14日より、有楽町スバル座、ディノズシネマズ札幌、名演小劇場、8月よりテアトル梅田にて公開)
ヒトラーを欺いた黄色い星
第二次世界大戦中に、7000人ものユダヤ人が自力で身分証明書の偽造や、なりすましなどの偽造テクニックを使いベルリン各地に潜伏し最終的に1500人が生き延びた実話の映画化。
時は1942年第二次世界大戦中のドイツ・ベルリン。
ユダヤ人のツィオマ(マックス・マウフ)はドイツ人に成りすましベルリン市内の空き家を転々とする日々を送り、同胞の為に身分証明書の偽造を行っていた。
友人のルードウィッヒから人目につかない作業場を紹介され、ユダヤ人を支援する中年男カウフマンから大量の偽造依頼を受注し、多額の報酬を得るが、不注意から指名手配されてしまう。
ツィオマの友人である、ルート(ルビー・O・フィー)は友人のエレンとともに戦争未亡人を装って外出するようになり、やがてルートはユダヤ人を匿う国防軍のヴェーレン大佐の邸宅でメイドの仕事を得る事になった。
16歳のオイデン(アーロン・アルタラス)はゲシュタポが家に踏み込んできた時に、ヒトラー青年団の制服を借り身元を偽り逃げ出した。
孤児のハンニ(アリス・ドワイヤー)か髪をブロンドに染め別人になり映画館で知り合った男性の母親の家に匿われることになる。
こうして『ナチスから見えない存在になった若きユダヤ人』たちは、どうやって戦後逃げ延びる事が出来たのか…。
戦後の歴史を振り返る映画が多く作られているのがドイツだろう。
その中でも今まで存在すら明らかにされていなかった、『ナチスから自力で逃げおおせた人々』は、生き証人がまだいる以上、興味ある話でもある。
日本で仮に同じ話があったとしても、映画化は困難だっただろうし、ぜひこれは観ておきたい作品でもある。
(7月28日より、テアトル梅田、シネ・リーブル神戸にて公開)
7月は、話題の邦画や洋画も公開されているが、一捻りある映画を見てみるのも面白いと思う。
ぜひ映画館に足を運んでみられる事をお勧めしたい。
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