Googleも視察に来る中古車ビジネス・ビィ・フォワードって何?
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Googleの本社の役員会で話題となり、
Google副社長が視察に来たという中古車販売会社がある
沖縄に本社を置く中古車販売業・ビィ・フォワードだ。
©toyokeizai.net
本社が六本木や表参道でもベイサイドエリアでもなく、主な取引先は中国や米国でもない。
新興国が主な取引先である、この会社の勝算の鍵を握る中古車販売ビジネスとは何だろうか。
中古車販売は玉石混合
日本の中古車は、大型車、スポーツカー、ファミリーカーを問わず、海外で人気を誇っている。
その理由が走行距離が少なく、舗装された道路で走っている為、車体の傷みも少ない事にある。
日本人の感覚からすると走行距離が10万キロを超えた車は、買い手がつかず廃車扱いとなるが、海外では走行距離40キロ~50キロを超えた車が現役で走っているのが当たり前だ。
走行距離が10万キロ前後の車をタダ同然で譲ってくれる日本の個人・法人ユーザーは、海外の中古車販売業者からしてみればありがたい存在で、輸送費を上乗せしても、元が取れるビジネスとなっている。
©wwj.world
この様に社名や病院名の入ったマイクロバスなど、使いようがないと廃車扱いされてしまうが、アフリカではそのまま使われているのだから驚きだ
それだけに、当然のことながら、中古車ビジネスは玉石混合である事は拒めない。
悪質な業者の中には、先に代金だけ受け取り夜逃げする業者なり、現地法人を設けていたとしても、パートナーを組んだ相手が悪ければ、商売がなりたたないケースも往々にしてある。
ネットで査定する中古車販売業者の大半は会員登録をしなければ、写真や車両本体価格を閲覧できないシステムになっている所が大半だ。
この様な非公開情報が多い理由は、中古車は、点検、整備、清掃、売値決定というプロセスを得てからネット上に広告を掲載するので手間がかかる上、その前に車が他の業者に売れてしまうという事情がある。
その為、いい中古車をゲットしたければ、中古車販売会社のFBなどSNSをチェックし、会員登録をしておく方法が一番と言われていた。そこに風穴を開け、なおかつ海外への輸出がメインという会社がでてきたのだ。
年商500億に、のぼりつめる秘策とは
今回紹介するビィ・フォワードは、中古車販売業で年商500億円を稼ぎ出す企業と言われている。
主な取引先はアフリカで、アフリカには大手物流Amazonの販売網が整っていない事から、中古車を載せるコンテナに、スマホ、オムツ、ガラゲー、タブレット、腕時計などを積み込み、新たな市場開拓にも挑んでいる野心的な会社だ。
コンテナに様々な商品を載せるというだけではない、独自の物流インフラは他にもある。
普通、内陸部に大量の車を輸送する場合は、キャリアカーを使うが、舗装されていない道路が当たり前のアフリカでは、キャリアカーを使うと、搬送途中でキャリアカーが潰れてしまう。
例えばタンザニアの、ダル・エス・サラームという港まら、ザンビアまで片道2000Km以降とおもえば、エンジン1機載せても搬送費が日本円で70~80万という膨大なコストがかかってしまう。
©live-commerce.com
そこでビィ・フォワードは、この様に現地搬入予定の車で連なって、キャラバンの様にしていくという工程をとっているのだ。
そうすることで盗難を防ぎ、なおかつ輸送費を1台あたり1000ドル(10000万円前後)に抑える事が出来、中古車を手に入れやすくする事が出来るという仕組みだ。
社長の山下氏は、大学在学中からモータースポーツに、のめり込み800万の借金を作ってしまった程。
借金返済の為に、昼は日産のディーラーで働き、夜はホストクラブで働いた山下氏だが、実は喋るのは大の苦手だったという。その後、運送会社や宝石業を得て、中古車買い取りの『カーワイズ』に26歳の時に就職。
©doda.jp
今までは自分から仕掛けていかなければいけなかった上、顧客は喜んでくれるわけではなかった。カーワイズに転職してはじめてお客さんが必要としてくれる、喜びを感じたという山下氏。
これを天職とばかりに、めきめきと業績をあげ、上司に独立資金4000万を貰い独立する事に。
アフリカを拠点にしたビジネスにしようとしたきっかけというのは、カーワイズ時代に、買い取った車をオークションに出すと、買い取り手である業者の6割がパキスタン人である事が判ったからだという。
彼らは売値よりも高く買い、なおかつ現地で日本車をプレミアをつけて売る。ならば、現地に乗り込んで質のいい日本の中古車を売れば良いのではないかという発想に、山下氏はいきついた。
だが、事は最初からそう巧く運ばなかったという。
パートナーに夜逃げされたり、車を持ち逃げされたり、大損をし、同業者が諦めて逃げかえる状況でも山下氏は諦めなかった。改善点を見つけつつ、ビジネスに対する粘り強さを見つけた所が良かったのだ。
アフリカを拠点にした理由はもう1つある。
スマホやガラゲーが固定電話より圧倒的に普及している事だ
これにより、良質の中古車を販売する店はSNSにより口コミで広がっていく。ビィ・フォワードは、中古車を買ってくれた顧客に希望者にステッカーやTシャツなど販促グッズを配る事で口コミを地道に広げていった。
中古車を運ぶコンテナに地元の人が欲しい日本の生活用品を詰め込み、アマゾンに対抗する地道な戦略ぶりは、街の電気屋さんを目指すパナソニックと並ぶものがあるだろう。
では、他にもビィ・フォワードの様な戦略をとる、日本の中古車販売業者はあるのだろうか。
ウィン=ウィンになれる可能性があるビジネス
ビィ・フォワードが『日本で走行距離上、お払い箱になっているけれど、海を渡れば価値ある車』を売るのであれば、『売るに売れないかもしれないが、中古車の部品として使えるもの』を売る会社があります。
それが金沢にある解体会社・会宝産業だ。
世界74か国と取引し、地球上を走る11億の車を無駄なく再利用できるビジネスモデルを目指すと豪語するだけあり、会社のシステムは目を見張るものがある。
廃車.comを運営し、廃車扱いされる車を、速やかに査定、買い取り、自社工場でネジ一本まで分解、バーコードで部品を管理し、いつでも出荷できるように体制を整えておくのだ。
ロシアの極東部分では、走っている車の8~9割が日本車で、部品は高額で取引されていて、エンジンの積み替えをしてまで、車を使いつづける事が当たり前になっている。
こうした土地でこそ、この会社の出番となるのです。車にベストマッチしたエンジン、部品を現地に速やかに送り届け、現地のバイヤーとタッグを組む事で、お客様とウィン=ウィンの関係が築ける。
また、ビィ・フォワードが海外に売った車が仮に壊れたとしても、会宝産業が部品を提供すればいいのですから、お互いでビジネスの邪魔になる事はないだろう。
いかがだろうか。
日本の車は、海外からみれば乗り方も実に綺麗で汎用性も高く、整備をすればまだまだ乗る事が出来る機会はある。
これを海外ビジネスに生かさない手はないと思う。
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